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■ 中毒性日記 2004
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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土曜日、多分永末ちゃんはビックリしたんじゃないかな。でも、僕はサラッと流せないのよね。この店に立つようになってから……。

ホテルにいた頃は「お客様は神様です」くらいに何があろうが動じなかったし感情も露わにしなかった。それが接客だ、サービスだと教えられたし、敷居をまたげば皆平等という認識の中で、なぜか支配人も料理長もその人だけに挨拶をしに来る「特別なお客様」の存在に疑問を持ちながら、やはり態度に表さずに悶々と過ごした。その反動がココ「志賀」に出ていると言っていい。

土曜日のお客様は結構飲んできた様子で、ソフトドリンクを注文した。昔からの店のお客様が連れてきた初対面の男性だった。年の頃は僕よりは若いかも知れないし、そうでないかも知れないが、この際どうでもいいことだった。

カウンターでカランッと音がしてグラスが倒れて、こちらに液体が流れ落ちた。ちょうど近くのBOSEのアンプ前である。以前、お客様が零したワインが隙間に入ってショートしたことがあったから、今は少しカウンターからは離してる。僕は耳がいい方だからその音にすぐに反応し、ダスターで拭き上げに掛かった。

零すのは仕方がない。そんなことでイチイチ怒ってたらキリがない。
僕が怒ったのはそんな事に対してじゃなかった。

「あー、ごめんごめん」

お客様を連れてきた僕を知るY氏は「志賀さん、申し訳ない ごめんなさい」とすぐに言った。しかし零した本人は、その方には敬語なのに僕に対しては「ごめんねぇ」と反省の色がない。

「Yさんはちゃんと気を遣ってくれてるのに、初対面で『ごめんね』って言われたら、こっちもカチンってきますわ」

そう言って僕はお代わりをすぐに作り直した。それから暫く経って、彼らは店を出ていった。帰り際張本人の「すいませんでした」という言葉に救われた。もちろん僕もちゃんと「ありがとうございました」と言えた。

一般に店ならば当たり前の「お客様は神様です」の中で、家店と勝手に決めている「志賀」は、初対面ならば特に『人としてまた会いたいか』ということに重きを置いている。「いや、いいんですよ お代わりお作りしましょうね」と顔で笑って、店を出ていった後に「さっきの客、最悪やったな」と残るお客様に話す店にはしたくない。人間関係がつくられてからの「ごめん」と、初対面の「ごめん」の違いはとても重要なのだと思う。

勿論それからその夜の店も、いつものように会話を楽しみ意見を交わし、意味のある時間を過ごした。色々あるから店に立つ側は止められない。
その隣で一人飲んでいた女性ホテル支配人・永末ちゃんは呟いた。

「でもなんか勉強になりました 個性って素敵ですよね」と笑う。

「でも、志賀さん言いながら思いっ切り睨んでましたねぇ〜」

やはり僕はバーテンでもないし店主でもない。家主たる所以だ。


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